廃車の手続きは平日の日中しか受け付けていません。仕事を休めない、車が遠くにある、という場合は、誰かに代わりに行ってもらうことになります。そのときに必要になるのが委任状です。
この記事では、委任状の書き方を記入欄ごとに解説します。記入例と、そのまま使える様式のダウンロードも用意しました。
委任状とは?車の手続きで必要になる場面

委任状は、車の登録手続きを代理人に任せることを、所有者本人が証明する書類です。運輸支局は窓口に来た人が本人かどうかを確認するため、代理人が申請する場合はこの書類を求めます。
どんなときに必要か
- 廃車業者や買取業者に手続きを任せるとき
- 家族や知人に代わりに行ってもらうとき
- 行政書士などの専門家に依頼するとき
逆に、所有者本人が窓口へ行く場合は委任状は不要です。
廃車手続き全体の流れと、委任状以外に必要な書類は次の記事で解説しています。
軽自動車は「申請依頼書」という別の書類になる
軽自動車には「委任状」という名称の書類はありません。同じ役割を果たすのは申請依頼書で、様式は軽自動車検査協会「各種申請書類の一覧と記入例」で公開されています。
普通車の様式を用意しても軽自動車の窓口では使えません。手続きする車がどちらかを先に確認してください。
委任状の書き方【記入例つき】

記入するのは4か所だけです。筆記具はボールペンを使ってください。鉛筆や消せるペンは受け付けられません。
①受任者(代理人)の住所・氏名
実際に窓口へ行く人の住所と氏名を書きます。業者に頼む場合は、業者から指定された名称を書きます。受任者の押印は不要です。
②委任する内容
様式には「下記自動車の検査・登録申請に関する一切の権限を委任します」といった文言が印刷されています。あわせて、移転登録・変更登録・抹消登録などの別を記入する欄がある様式もあります。
廃車の場合は、解体を伴うなら「永久抹消登録」、車を残すなら「一時抹消登録」と書きます。どちらか判断がつかない場合は、依頼先に確認してください。
③自動車登録番号(車両番号)または車台番号
車検証を見ながら書き写します。記憶で書かないでください。自動車登録番号はナンバープレートの番号、車台番号は車体に刻印されている固有の番号です。
④委任者(所有者)の住所・氏名と実印
氏名は車検証の「所有者」欄のとおりに書きます。住所は印鑑証明書に記載されている住所を書きます。車検証の住所が古いままでも、書くのは印鑑証明書の住所です。
ここに押すのは実印です。法人の場合は、法人名と代表者名を書き、法人の実印を押します。
国土交通省・各運輸支局の案内によると、実印の押印が求められるのは次の手続きを委任する場合です。
- 新規登録
- 移転登録(名義変更)
- 永久抹消登録
- 一時抹消登録
- 輸出抹消仮登録
廃車はこのいずれかにあたるため、実印と印鑑証明書がセットで必要になります。印鑑証明書が必要な理由は次の記事で説明しています。
記入例
| 記入欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 受任者 住所 | 東京都〇〇区〇〇1-2-3 |
| 受任者 氏名 | 〇〇株式会社 |
| 委任内容 | 一時抹消登録 |
| 自動車登録番号 | 品川 300 あ 12-34 |
| 車台番号 | MH12-3456789 |
| 委任者 住所 | 車検証の所有者欄のとおりでなく、印鑑証明書の住所になります |
| 委任者 氏名 | 車検証の所有者欄のとおり(実印を押す) |
| 年月日 | 委任した日(西暦・和暦どちらでも可) |
様式と記載例は、各運輸支局のサイトでも公開されています。関東運輸局「各種様式」などから確認できます。
委任状でよくある間違い

書き直しになると、代理人にもう一度足を運んでもらうことになります。次の4点は事前に確認してください。
認印では受け付けられない
廃車の委任状に押すのは実印です。印鑑証明書に登録した印鑑と同じものである必要があります。手元にある認印やシャチハタでは通りません。
訂正するときは訂正欄に押印する
書き間違えた場合、二重線を引くだけでは足りません。様式にある訂正欄に委任者欄と同じ印を押し、訂正・削除・追加した文字数を記入します。
訂正が多くなりそうなときは、書き直したほうが早く済みます。
法人名義は法人名と代表者名の両方を書く
社用車の場合、委任者欄には法人名だけでなく代表者名も記入します。押すのは法人の実印です。個人の実印では受け付けられません。
車検証の記載と食い違っている
引っ越しや結婚で住所・氏名が変わっているのに、車検証が古いままというケースがあります。委任状は車検証の記載に合わせてでなく、現在の印鑑証明書上の氏名、住所になります。そのうえで、住民票などのつながりを示す書類が別途必要になります。
委任状の入手方法

ダウンロードする
当サイトでも様式を配布しています。印刷してそのまま使えます。
自宅にプリンターが無い場合は、コンビニのマルチコピー機でも印刷できます。
運輸支局で受け取る
窓口にも用紙が置かれています。ただし平日の日中しか開いていないため、そのために出向くのは効率がよくありません。
業者から送ってもらう
廃車業者に依頼する場合、必要書類一式を郵送してくれることがほとんどです。記入方法の指示も添えられるため、迷いにくい方法です。
委任状に関するよくある質問
Q. 委任状に有効期限はありますか
委任状そのものに一律の有効期限は定められていません。ただし一緒に提出する印鑑証明書は発行から3か月以内という期限があります。実質的には、印鑑証明書の期限内に手続きを終える必要があります。
Q. 代理人の欄を空欄で渡しても大丈夫ですか
業者から「空欄のままで結構です」と言われることがあります。手続き上は業者側が記入して使いますが、実印を押した書類を白紙で渡すことになる点は理解しておいてください。不安であれば、依頼先の名称を自分で記入してから渡すこともできます。
Q. 所有者が亡くなっている場合はどうしますか
亡くなった方は委任状を作れないため、相続人が手続きを行います。戸籍謄本や遺産分割協議書など、相続関係を示す書類が必要になります。ケースによって必要書類が変わるため、次の記事もあわせてご確認ください。
Q. ローン会社が所有者になっている場合は
車検証の所有者欄がローン会社やディーラーになっている場合、委任状を書くのはその会社です。まず所有権解除の手続きについて、名義人へ連絡してください。
まとめ
委任状は、車の手続きを代理人に任せるための書類です。所有者本人が窓口へ行くなら必要ありません。記入するのは「受任者」「委任内容」「自動車登録番号または車台番号」「委任者」の4か所だけで、氏名は車検証のとおり、住所は印鑑証明書のとおりに書きます。
ここで最も間違いが多いのが印鑑です。廃車の委任状に押すのは実印で、認印では受け付けてもらえません。発行から3か月以内の印鑑証明書とセットで提出します。書き間違えたときは二重線を引くだけでは足りず、訂正欄に同じ印を押す必要があります。
なお軽自動車の場合、そもそも「委任状」という書類はありません。同じ役割を持つ「申請依頼書」を使うため、手続きする車がどちらなのかを先に確かめておいてください。
書類の準備や記入に不安がある場合は、ヒキトリレンジャーにご相談ください。必要書類の郵送から手続きの代行まで対応しています。



































委任状は、車の手続きを自分の代わりに誰かへ任せるための書類です。廃車を業者や家族に頼むときに使います。押すのは実印で、印鑑証明書とセットで提出します。