乗らなくなった車をそのままにしていると、使っていなくても自動車税は毎年かかります。かといって手続きは複雑そうで、後回しにしてしまう方は少なくありません。
この記事では、普通車と軽自動車それぞれの廃車手続きを、必要書類・費用・戻ってくるお金まで順に解説します。窓口も手続きの名称も車種によって違うため、分けて説明します。
2026年4月1日に、自動車の登録手数料が改定されています。改定前の金額を載せたままの情報も多いため、本記事では改定後の額と確認先を示します。
廃車手続きの基礎知識
廃車手続きとは、車の登録を国の記録から消す「抹消登録」のことです。手続きをして初めて、課税と法的な所有義務が止まります。
手続きをせずに放置するとどうなるか
車を動かしていなくても、登録が残っている限り自動車税(種別割)は毎年課税されます。「乗っていないから請求は来ない」ということはありません。
登録上の所有者であり続けることにもリスクがあります。第三者に持ち去られて悪用された場合、登録名義が自分のままだと、確認の連絡が自分に来ます。
また、廃車のタイミングによっては税金が戻る額が変わります。詳しくは次の記事で解説しています。
普通車・軽自動車・二輪車で手続きが違う
車種によって、窓口も手続きの名称も違います。ここを取り違えると、書類を揃えても受け付けてもらえません。
| 車種 | 窓口 | 手続きの名称 |
|---|---|---|
| 普通車 | 運輸支局 | 永久抹消登録/一時抹消登録/輸出抹消登録 |
| 軽自動車 | 軽自動車検査協会 | 解体返納/自動車検査証返納届(一時使用中止) |
| 小型二輪(251cc超) | 運輸支局 | 自動車検査証返納届 |
| 原付(125cc以下) | 市区町村役場 | 廃車申告 |
どこへ行けばよいか迷う場合は、次の記事で窓口ごとに整理しています。
- 登録が残っている限り自動車税は毎年かかる
- 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会。窓口が別
- 軽自動車には「抹消登録」という名称の手続きは無い
廃車手続きの3つの種類と選び方
普通車の抹消登録は3種類あります。違いは「そのあと車がどうなるか」です。
| 種類 | 車のその後 | 再登録 |
|---|---|---|
| 永久抹消登録 | 解体される | できない |
| 一時抹消登録 | 手元に残る | できる |
| 輸出抹消登録 | 海外へ輸出される | できない |
永久抹消登録:車を完全に処分する
車を解体して、二度と公道を走れない状態にする手続きです。解体が完了していないと申請できません。解体業者から発行される情報をもとに手続きを進めます。
永久抹消登録の必要書類や流れは、次の記事で詳しく解説しています。
一時抹消登録:使用を一時的に止める
車を手元に残したまま、登録だけを止める手続きです。長期入院・海外赴任・相続で車が宙に浮いたときなどに使います。あとから再登録すれば、また乗れます。
一時抹消登録をしても、自動車重量税は還付されません。この点は後の章で詳しく説明します。
必要書類や、また乗るときの再登録(中古新規登録)の手順は、次の記事で詳しく解説しています。
輸出抹消登録:海外へ輸出する
車を海外へ輸出する場合の手続きです。一般の方が使う場面は多くありませんが、買取業者が輸出ルートを持っている場合、業者側がこの手続きを行うことがあります。
どれを選ぶかの判断基準
判断の分かれ目は「またその車に乗る可能性があるか」の一点です。
- もう乗らない、処分したい … 永久抹消登録
- 数年後にまた乗る予定がある … 一時抹消登録
- 売却先が決まるまで保管したい … 一時抹消登録
迷う場合は一時抹消登録を選んでおくと選択肢が残ります。あとから解体届出をすれば永久抹消に切り替えられますが、その逆はできないためです。
普通車の廃車手続きの手順
運輸支局へ行くのは1回で済みます。書類が揃っていれば当日中に終わるのが一般的です。ただし平日の日中しか受け付けていません。
手順1:必要書類を準備する

以下は、国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイト「廃車の手続き(一時抹消登録)の必要書類」にもとづく内容です。
| 書類・持ち物 | 入手先・注意点 |
|---|---|
| 申請書(OCR申請書 第3号様式の2) | 運輸支局で入手 |
| 手数料納付書 | 運輸支局で入手。登録印紙を貼付する |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場。発行から3か月以内のもの |
| 自動車検査証(車検証) | 車内に保管されているもの |
| ナンバープレート(前後2枚) | 当日に取り外して持参する |
| 実印 | 印鑑証明書と同じ印鑑 |
印鑑証明書の3か月という期限を過ぎていると受け付けてもらえません。書類を揃える順番は「印鑑証明書を最後に取る」のが確実です。
ケース別に追加で必要になる書類
| こんなとき | 追加で必要なもの |
|---|---|
| 家族や業者が代理で申請する | 委任状(実印を押したもの) |
| 引っ越し・結婚で住所や氏名が変わった | 住民票、戸籍謄本などのつながりを示す書類 |
| 相続で引き継いだ車 | 戸籍謄本、遺産分割協議書など |
| 事業用の車 | 事業用自動車等連絡書 |
| 車検証やナンバーを返納できない | 理由書 |
見落としやすいのが住所変更です。車検証の住所と印鑑証明書の住所が一致していないと、そのままでは手続きできません。転居が複数回ある場合、住民票だけでは足りず戸籍の附票が必要になることもあります。
手順2:運輸支局で手続きを行う

おおむね次の順で窓口を回ります。
- 用紙販売窓口で申請書と手数料納付書を購入する
- 印紙販売窓口で登録手数料分の印紙を購入し、納付書に貼る
- ナンバープレート返納窓口でプレートを返す
- 登録窓口に書類一式を提出する
- 税事務所の窓口で自動車税の申告をする
窓口の配置は支局によって違います。総合案内で手続き名を伝えると、その支局の回り方を教えてもらえます。書類の書き方も相談窓口で確認できるため、記入は現地で行っても構いません。
手順3:ナンバープレートを返納する
ナンバープレートは前後2枚とも返納します。後ろのナンバーには封印が付いているため、現地で外すのが確実です。ドライバーとペンチを持参すると安心できます。
盗難や紛失でナンバーが手元に無い場合は、理由書での対応になります。盗難の場合は警察への届出が前提になるため、先に届け出てください。
手順4:交付される書類を受け取る
手続きの種類によって、交付される書類の名称が違います。「抹消登録証明書」という名称の書類は存在しません。この名前で案内している情報を見かけますが、正しくは次のとおりです。
| 手続き | 交付される書類 |
|---|---|
| 一時抹消登録(普通車) | 登録識別情報等通知書 |
| 永久抹消登録(普通車) | 登録事項等証明書で確認する(専用の証明書は交付されない) |
| 自動車検査証返納届(軽自動車) | 自動車検査証返納証明書 |
登録識別情報等通知書は、再登録するときに必須です。自賠責保険を解約するときにも使います。紛失しないよう保管してください。
ローンが残っている車の場合
車検証の「所有者」欄がローン会社やディーラーになっている場合、名義人の同意なしには手続きできません。まずローン会社に連絡し、所有権解除に必要な書類を発行してもらう流れになります。
残債がある状態では応じてもらえないこともあるため、早めの確認をおすすめします。
動かない車・事故車の場合
手続き自体は、車が動かなくてもできます。運輸支局へ車を持ち込む必要はなく、必要なのは書類とナンバープレートだからです。国土交通省が示す必要書類にも、現車の提示は含まれていません。
ただし、解体を伴う永久抹消登録に進む場合は、車を解体業者まで運ぶ必要があります。自走できない車はレッカーでの搬送になります。
- 事前に用意するのは印鑑証明書・車検証・実印の3点
- 印鑑証明書は発行から3か月以内。最後に取ると確実
- 交付されるのは「登録識別情報等通知書」。再登録に必須
- 車が動かなくても、書類とナンバーがあれば手続きできる
軽自動車は窓口も名称も違う
軽自動車には「抹消登録」という手続きはありません。軽自動車は「登録」ではなく「届出」の制度で管理されているため、用語が根本から違います。
| 普通車 | 軽自動車 |
|---|---|
| 永久抹消登録 | 解体返納 |
| 一時抹消登録 | 自動車検査証返納届(一時使用中止) |
| 窓口:運輸支局 | 窓口:軽自動車検査協会 |
窓口は軽自動車検査協会
建物が別なので、間違えて運輸支局に行っても手続きできません。申請先は軽自動車検査協会「自動車検査証返納届(一時使用中止)」によると、使用の本拠の位置を管轄する事務所・支所・分室です。

必要書類と手数料
- 自動車検査証(原本)
- ナンバープレート
- 自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書(軽第4号様式)
- 申請依頼書(使用者以外が手続きする場合)
- 事業用自動車等連絡書(事業用車両の場合)
普通車と違い、印鑑証明書は不要です。代理人が手続きする場合も、委任状ではなく「申請依頼書」を使います。
手数料は、同協会によると返納証明書の交付を受ける場合で1件につき450円です。手続きが済むと「自動車検査証返納証明書」が交付されます。これが普通車の登録識別情報等通知書にあたる書類で、再使用するときに必要になります。
軽自動車を自分で手続きする流れは、次の記事で詳しく解説しています。
軽自動車税には月割還付がない
普通車と最も大きく違うのがここです。軽自動車税(種別割)には、普通車のような月割還付の制度がありません。
軽自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に1年分がまとめて課税される仕組みです。年度の途中で返納届を出しても、その年度分は戻ってきません。清瀬市も「軽自動車税には月割課税制度がないので、月割での還付はできません」と案内しています。
そのため軽自動車では、3月31日までに手続きを終えられるかどうかで、翌年度の課税が変わります。課税の詳しい扱いは、お住まいの市区町村にご確認ください。
- 軽自動車の窓口は軽自動車検査協会。運輸支局ではない
- 印鑑証明書は不要。代理申請は「申請依頼書」を使う
- 返納証明書の交付は1件450円
- 軽自動車税は月割還付が無いため、3月31日が分岐点
廃車手続きにかかる費用
手続きそのものにかかるのは印紙代だけです。費用の大半は、解体と搬送に関わる部分になります。
登録手数料【2026年4月1日に改定】
自動車の登録・検査の法定手数料は、2026年(令和8年)4月1日に改定されました。一時抹消登録の窓口申請は、改定前の350円から450円になっています。
| 手続き | 手数料 |
|---|---|
| 一時抹消登録(窓口申請) | 450円(改定前 350円) |
| 永久抹消登録 | 無料 |
| 自動車検査証返納証明書の交付(軽自動車) | 450円 |
金額は今後も改定される可能性があります。最新額は各運輸支局が公開している「登録・検査手数料一覧表」でご確認ください。
このほかに、印鑑証明書の発行手数料(数百円程度)がかかります。
解体費用の相場
解体を伴う場合、解体費用が発生します。金額は車の状態や地域によって幅がありますが、1万5,000円〜3万円程度が一つの目安です。
ただし、鉄などの資源価値や部品の再販価値がある場合、業者側の収益で相殺され、無料になることがあります。
レッカー費用
自走できない車は搬送が必要です。距離や車両の状態によりますが、1万円〜2万円程度が目安になります。引き取り業者が無料で対応する場合もあるため、依頼前に確認してください。
その他の費用
住民票や戸籍謄本の取得、書類作成の代行を依頼する場合は、別途費用がかかります。自分で書類を揃えれば、この分は抑えられます。
廃車で戻ってくるお金
税金の種類によって、還付される条件が違います。ここを誤解したまま手続きすると、期待した金額が戻らずに戸惑うことになります。
自動車税(種別割)は月割で還付される
普通自動車の場合、抹消登録をした翌月から年度末(3月)までの分が月割で還付されます。東京都主税局は「抹消登録した月の翌月分から月割で減額します」と案内しています。
一時抹消登録でも還付の対象になります。永久抹消登録に限られるわけではありません。
受け取りまでには1〜2か月程度かかることが多いため、すぐには振り込まれない点を見込んでおいてください。
自動車重量税は解体を伴う場合だけ
ここが最も誤解の多い点です。自動車重量税は、一時抹消登録をしただけでは還付されません。
国税庁の「No.7193 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」によると、還付の対象になるのは、自動車リサイクル法にもとづいて適正に解体された車です。還付申請は、解体を事由とする永久抹消登録申請または解体届出と同時に行う必要があります。
また同制度では、車検の残存期間が1か月以上あることが条件とされています。車検切れの車では対象になりません。
自賠責保険の解約返戻金
自賠責保険は、廃車手続きをしても自動では解約されません。保険会社に自分で解約を申し出る必要があります。
解約すると、残っている期間に応じた返戻金を受け取れます。手続きには、廃車が済んだことを示す書類と自賠責保険証明書が必要です。残期間が短いと返戻金が発生しない場合もあります。
任意保険については、契約している保険会社に連絡してください。等級を維持したまま契約を止める「中断証明書」を発行してもらえる場合があります。
還付金の種類と受け取り方をまとめて確認したい方は、次の記事も参考にしてください。
買取という選択肢
年式が新しい車、走行可能な車、希少な車種は、買取に出したほうが手元に残る金額が大きくなることがあります。動かない車でも、部品や資源としての価値が付く場合があります。
処分と決めてしまう前に、一度査定を受けてみる価値はあります。
- 自動車税は一時抹消でも月割還付される
- 自動車重量税は解体を伴う手続きでないと還付されない
- 重量税の還付には車検の残りが1か月以上必要
- 自賠責保険は自分で解約しないと返戻金が出ない
自分でやるか、業者に頼むか
判断の基準は、費用よりも「平日に時間を取れるか」と「解体まで必要か」の2点です。
自分でやる場合
手続き自体の費用は印紙代だけで済みます。ただし運輸支局は平日の日中しか開いておらず、書類に不備があれば出直しになります。
一時抹消登録だけなら、自分で進めやすい手続きです。一方、解体を伴う永久抹消登録は、解体業者の手配と証明の受け取りが挟まるため、手間が増えます。
自分で進める手順は、次の記事で詳しく解説しています。
業者に依頼する場合
書類の準備から解体、還付金の手続きまで一括で任せられます。引き取りとあわせて手続きを無料で代行している業者もあります。
平日に動けない方、車が自走できない方、遠方に車がある方は、業者に頼むほうが結果的に負担が小さくなります。
業者選びで確認しておきたいこと
見積もりの内訳を出さない業者には注意してください。あとから追加費用を請求されるトラブルの原因になります。
依頼前に、次の点を確認しておくと安全です。
- レッカー代・解体費用・書類代行費が見積もりに含まれているか
- 抹消登録の手続きまで代行してくれるか(引き取りだけで終わらないか)
- 手続き完了後に、書類の控えを渡してもらえるか
- 還付金を業者と自分のどちらが受け取る取り決めか
- 古物商許可や解体業の許可を持っているか
特に見落とされやすいのが「抹消登録まで終わっているか」です。引き取られたのに登録が残ったままだと、翌年も自動車税の通知が届きます。
廃車手続きに関するよくある質問
Q. 廃車手続きに必要なものは何ですか
普通車は、申請書・手数料納付書・印鑑証明書・車検証・ナンバープレート・実印が基本です。軽自動車は印鑑証明書が不要で、代理申請の場合は委任状ではなく申請依頼書を使います。住所変更や相続がある場合は、追加の書類が必要になります。
Q. 還付金はいつ受け取れますか
自動車税(種別割)は、手続き後1〜2か月程度で通知が届くのが一般的です。自動車重量税は解体を伴う手続きが条件で、申請から入金まで数か月かかる場合があります。いずれも自治体や税務署の処理状況によって前後します。
Q. ローンが残っていても廃車できますか
車検証の所有者欄がローン会社になっている場合、その会社の同意が必要です。まず連絡して所有権解除の手続きを確認してください。残債があると応じてもらえないこともあるため、早めの相談をおすすめします。
Q. 家族に代行してもらえますか
できます。普通車は実印を押した委任状、軽自動車は申請依頼書が必要です。あわせて、所有者本人の印鑑証明書(普通車の場合)も用意してください。書式は運輸支局や軽自動車検査協会の窓口・公式サイトで入手できます。
Q. 手続き後に交付された書類をなくしたらどうなりますか
一時抹消登録で交付される登録識別情報等通知書は、紛失しても再登録ができなくなるわけではありませんが、手続きは煩雑になります。手続きを行った運輸支局で登録事項等証明書の交付を受けるなどの対応が必要です。必要書類は状況によって変わるため、管轄の運輸支局にご確認ください。
Q. 事故車や故障車でも廃車できますか
できます。手続きに現車の持ち込みは不要なため、動かない車でも申請できます。解体を伴う場合は搬送が必要になりますが、レッカーを無料で対応する業者もあります。部品や資源としての価値が付くこともあるので、処分と決める前に査定を受けてみてください。
まとめ
- 廃車手続きは、解体して処分する「永久抹消登録」と、車を残して登録だけ止める「一時抹消登録」に大きく分かれる
- 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会。窓口も手続きの名称も違う
- 登録手数料は2026年4月1日に改定。一時抹消登録の窓口申請は450円
- 自動車税は一時抹消でも月割還付されるが、自動車重量税は解体を伴う手続きでないと還付されない
- 軽自動車税には月割還付の制度がない
- 自賠責保険は自分で解約しないと返戻金を受け取れない
- 業者に頼む場合は、抹消登録まで終わるかを必ず確認する
書類の準備が難しい、平日に時間が取れない、車が動かないという場合は、ヒキトリレンジャーにご相談ください。状態を問わず引き取りに対応しています。
本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な情報提供であり、税務・法務上の助言ではありません。手数料・税額・必要書類は改定される場合があります。手続きの前に、運輸支局・軽自動車検査協会・お住まいの自治体で最新の内容をご確認ください。個別の事情については、税理士・行政書士などの専門家にご相談ください。











































廃車手続きは「解体して完全に処分する」か「車を残して登録だけ止める」かの二択です。どちらを選ぶかで、必要書類も、戻ってくるお金も変わります。